二つの旅

彼の地への憧れ
行ってみたい場所
食べてみたい料理

快楽への欲求
旅の先にあるのは
希望

それはそれは
楽しい

もう一つの旅は
現実からの脱出

灰色で
いつまでも続く日常
飽き飽きした労働

あまりの繰り返しに
手垢がついて
馴れて
熟れて
煮詰まって

もう反復の回路に
耐えられない

どこか遠くに
逃げてしまいたい

長く長く長く
いまここを抜け出して

日常が恋しくなるまで
知らない場所で過ごす

どちらの旅も
いつかは終わり

何事もなかったかのように
人は日常に戻り

いつかの非日常を
再び夢見て眠る

夢を見ていられるなら
旅は美しいままだ