天災の機の文学

突然の振動
抗えない力

天がもたらす
圧倒的な破壊を前に

為す術もなく
憎むことさえ
出来ない

一方的で
理不尽な仕打ちは

忘れた頃に
訪れて

世界が
ままならないのだと
人に知らしめる

文学は人の営み
人に向かう営み

天に吠えても
叫びは
虚空に消え

何も帰って来はしない

それでも
天災を浴びた人の世は

感情や欲望や
隠されていた企みが

思いもよらず
浮かび出て

優しさや温かさ
冷酷や非道に

バタリと
向き合う時がある

冷静を取り戻す前の
刹那

混沌の渦が消えるまでの
非日常

そこにこそ
文学が討つ瞬間が
到来する

普段見えない
剥き出しの中身

美しさも
汚さも
露わになり

隠れるまでの
無防備な時が

緊張と興奮の絵図を
描き出す