神なき夜の眠り

泥酔者の嬌声
野良猫の喧嘩

夜更け
猥雑な街は
喧騒の中

果てない灯り
訪れない眠り

毎夜毎夜の
馬鹿騒ぎ

端のアパート
ゴキブリの死骸踏んで
登る階段
4.5帖

カビと湿気と
中華料理の油まとわりつく壁に

人の声
食べ物の匂い
電車の振動
放置したゴミ

都会は
音も匂いも
人も機械も

全部入り混じって
混濁した空気が流れる

それを吸えば
発酵したカオス
全身に行き渡り

善悪も損得も
判断する意思は麻痺して

ただただ
人混みに巣食う
欲望の匂いだけを
求める