二度とはみたくない詩=死

大抵の犯罪では
罪を犯した人の心に
思いを巡らせる

人は
はじめから罪を犯したいわけではない

貧しさや周りの環境が
心を歪め

屈折した精神
抑えきれない復讐の欲動
あるいは
まっとうに生きられない切実な事情が

人を犯罪に
駆り立てることもある

だが
抵抗できない子供に向けた暴力は

どこまで行っても
理解も共感もしたくない

目黒で起こった女の子への虐待
殴られ蹴られ
水を浴びせられ
痣だらけの体で
まともな食事も与えられず
ガリガリにやせ細り
死に追いやられた

まだ5歳
毎朝4時から
ノートに平仮名の練習をさせられて
書いた文


 もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします
 ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおします

謝罪
自己否定

その裏に
生にしがみつこうとする
強烈な意思

全てを捨てても
なりふりかまわず
生きたい

生きさせてほしいと
懇願している

これが5歳の書く文か
5歳にして
こんな文章を書かねばならなかったのか
そんな世の中に
我々も生きているのか

これは詩
死と隣合わせの詩

自覚せず書いた
円谷幸吉の遺書以来の
心揺すられる文章

命を賭け
切実で
人の心を打つ

二度と書いて欲しくない
目にしたくない詩