生理の銭湯

今日もまた
いつもの銭湯で
爺が
糞を漏らした

洗い場に散らばった黒点
流れくる悪臭

気づいた時には
爺は
脱衣所で
さっさと服を着て
出ていた

鼻につく匂いが
憎悪を掻き立て

一刻も早く
この場を避りたいと
願いながら

誰とも知れなく
激しく
怒っていた

この刹那だけ
わたしは
劣等感も卑屈さも
忘れ

ひたすら
怒っていた

怒ることで
日頃の悩みから
解放され

ただ目の前の臭さと
それを作った爺を
憎悪した

己を
怒りに任せている間

とても
心が楽であった

ただ憎んでいるだけで
悩まずに済み

わたしは
解放されていたのだった