トマトの切り身

冷えて
肌に露を浮かべ

濃く
赤く

中に滴る果肉と
厚みのある皮

照るほどの艶
かろうじて形を保つ液

口に運べば
ほとばしる汁

甘味
酸味

青臭さ
鼻を抜ける香り

噛むほどにほどけ
とろけて

喉へ
流し込まれる

赤い
瑞々しさをまとった
トマト

毎日
数百も数千も

食べては
飽きず

まだ食べたい

日差し強き
昼下がり

汗滴る軒先で
盥に冷えたトマト

しゃがみ込めば
麦わら帽子の影が
地に映る

齧るまで
眺めて

齧っては
眺め

そして今
思い出す

赤い中身