心動く時

夕焼け
たなびく紫雲

落陽の照らす山肌
川の音
虫の声

何ということもない
毎日見ている風景が

ある時
心に染みて

日常は
非日常に転移して

時の流れも
空気の匂いも

脳裏に刻まれ
忘れられない

自然は同じことを
ひたすら繰り返し

自分も同様に
日々を反復していると
思っていた

それが
わけも分からず
心震えて

自然の中に
一人立ちつくした

変わっていたのは
わたしだ

細やかな心根が内にあったか
どこかが弱っていたのか

たかが命が
大気に共鳴し

ふるえるように
心揺さぶった

それは
もう
痛快だ