相克の超

大災害や事件が起きて
人の心に浮かぶのは

忘れたい
はやく日常に帰りたい

忘れてはいけない
記憶を風化させちゃいけない

逆の想いが
入り乱れ

一人の心の内すらも
混乱し

どちらが正しいも
間違いもなく

矛盾に苛まれることで
いっそう
世界は複雑化して
人を悩ませる

心を整理するため
どちらかに意見を決めて
生きていくのも

逆の気持ちを
押し込めることになり

矛盾した存在を
受け入れて

なお
矛盾することが
時には自然だと
思えない限り

人は苦しみ続けるし

真面目て
合理的な人間ほど

一貫性へのこだわりは強い

自分の町を空襲した兵隊が
すぐ後に
チューインガムを配って歩く

この人が
良い人なのか
悪い人なのか

悩むより前に
チューインガムをもらって
噛み締めるほうが

生きやすい時もある