文学ならきれいで快適で成功なんてしない

失敗や困難を乗り越えて

過去を省みず

 

前だけを向いて

歩いていける人

 

クヨクヨせず

目の前の問題に取り組み

 

一つ一つ

片付けていく

 

成功と賞賛を

手中に収めた人たち

 

その影で

過去を引きずり

捨てられず

 

過去に憑かれ

のしかかられて

 

重たい体を

過去と共に引きずる人々

 

まるで鉄の鎖や

十字架を背負い込みでもしたように

 

忘れていいことに

囚われ迷う人

 

成功の未来と

足枷の過去

 

実業家なら前者を

だが

文学の重心は

 

成功体験や

輝かしい希望であるはずがない

 

生きる苦しみ

悩み惑い

 

辛くても生きる矛盾を

抱え込んでなお

 

読ませ

狂わせ

 

溺れさせ

ときに救う

 

貧者と弱者への

侮蔑と共感

 

露わな心

堕落の誘惑と後悔

 

失敗に失敗に失敗

 

だがこれも人生

 

人生に藻掻く

泥海を必死に泳ぐ姿を

描写する

 

こっちが文学

決して

きれいなプールサイドの競泳大会じゃない