栄光という足枷

人はだれも
輝ける瞬間を求め

運良く
願いが叶い

積み上げてきた己が
称賛され

人生が報われたと
感慨に浸る

そんな美しい経験のひとつやふたつ
懐に忍ばせている

成功体験は
苦しい時も
前を向き

努力や忍耐が
いつか報われると信じて

生きていく
支えになってくれる

その一方で

かつての栄光に酔い
良い時代が忘れられず

いつまでも
後ろを向いて
現実を肯定できない

自分の成功こそ
唯一の方法だと拘泥し

世界の多様を
享受できない

そんな足枷が
取れない人もいる

上手くいかない時こそ
過去に引きづられ

自分の良い時が
本当の自分だという願望に
すがりたくなる

すがりつくのは勝手だし
そんな弱さを非難出来るわけないけれど

自分の目を曇らせている過去は
どんなに美しくても

今じゃないのだ