こんな日の、いつかのラーメン

レンゲでスープを啜れば

立ち上がる醤油の切れ
煮干しの香ばしさ
みりんと鶏油の丸さ
玉ねぎに人参の甘み

褐色の液体は
小さな脂の粒が
きらきらと光って

その中を
なめらかな麺が
ツヤを放ちながら
泳いでいる

二枚の煮豚
分厚いメンマ
海苔
散りばめられたネギ

豊かな汁に浸かり
しっとりとした
なまめかしさを纏い

みずみずしいまま
口に運ばれる
丼の中の品々

噛めば
汁の旨味が口に広がり

小麦は口内で香り
煮豚は歯ごたえ十分に

噛み砕かれ
すり潰され

ほどけていきながら
味蕾を刺激する

そこへレンゲのスープが入り
旨味で旨味を流して

ネギの刺激残して
次なる一口を待ち望む

温かく
夢中になり

丼を包み込む手も
味わう舌も
胃袋も

逆に包み込んでくれる
一杯のラーメン