電車の旅情

西へ向かう
長距離列車

ターミナルで買う
駅弁とささやかな酒

窓際に座れば
列車は走り出す

ガタンゴトン
ガタンゴトン

レールの継ぎ目が
紡ぎ出すリズムを
椅子から感じて

弁当を開け
酒を一口

灰色の日常は
かなた遠く

旅立ちの浮遊感に
心湧き立つ

ただ座り
食べて
飲みながら

列車は
目的地へ近づき

酔いの回った目に
流れる景色は
朧げ

現実は曖昧になって
いつの間にか
白昼夢の中にいた

傾いた陽が
山肌を照らし

ただ稜線だけが
くっきりと見えて