哀愁のレストラン

薄暗い灯り
煤けたオブジェ

埃かぶった造花の裏から
赤や黄色のにじむライト

穴のあくソファーに腰掛け
立ち昇る紫煙を惚けて眺める

街道沿いのレストラン
腰の曲がったマダム

ステーキハウスで熱燗
鮪の刺身に冷奴

洒落っ気も
見栄も素っ気もない

年老いて
生き残った
ヒッピーたちの残滓が
いまだ香る
哀愁のレストラン

暗がりにひそむ
昭和の思い出と

アメリカへの
西海岸への憧憬

落ち着いて
懐かしくなるほど

かつての若者が
抱いた夢の跡