育てる

冬の高い空の下で

麦を踏むように

 

負荷をかけ

適応して

強くなる生命

 

しかし

いくら踏みつけたとて

 

種まで踏み潰しては

生命は消えるし

 

寒さや大雨から

守ってやらねば

 

健やかには育たない

 

厳しくしつけ

追い込んで

 

成長を促すのなら

 

その裏で

こまめに気を配り

 

見守って

身を案じる心持ちがなければ

 

ただの虐待にも等しい

嗜虐でしかない

 

大切なものを

囲い込み

 

ひ弱に育てるのと同じく

 

対象へ寄り添い

甘やかさず

踏みつけず

 

いつもハラハラしながら

何が正しいか分からないまま

 

それでも

生きる力を信じて

 

生命が損なわれないようにしながら

 

経験を積み

育つ様をじっと見てゆく