人のやさしさ

足を痛めた時

細やかに気遣い
いつも寄り添ってくれる
優しさは身に沁みる

一方
放っておいてくれるのも
また優しさ

面倒ばかり見られると
気遣いに恐縮し
相手に合わせようと
しなければならなくて
気持ちが疲れる

面倒見のよい母親が
子供を気遣いたいあまり
大人になった後までも
あれやこれやと
世話を焼く

それは優しさに見えて
実のところ
いつまでも子供を支配したい
欲求の歪んだ形

足の怪我で
世話焼く人も
何から何まで面倒みようと
意気込んで

親切の押し売りになっているのを
気づかない

人は様々な局面で
強者にも弱者にもなるが

どんな弱者にだって
プライドがあり
自分で出来るものは自分でやりたい

世話を焼く気遣いも
放っておく気遣いも

どちらも優しいのに違いなく
有難いと気づいて
初めて
やさしさの有様に考えがまわる