冬の歩み

気だるい夏の夜に

淀み

弛緩した空気は

 

いつの間にか

 

厳しく

刺すような寒さに

変わっている

 

緊張と覚醒

 

ポケットに手を入れ

肩をすぼませ

 

足取りも速くなる

 

こんな寒い夜は

ぼんやりと過去を振り返る暇などない

 

歯を食いしばり

下を向いて

 

白い息を吐きながら

一歩また一歩

 

先も見ず

昔も見ず

 

ただ

今だけが

早く過ぎ去って欲しいと願いながら

 

歩いていく

 

時が流れ

やがて緊張が解け

 

弛緩して

眠りにつけると

 

経験は知っているから

 

今だけしのげば

なんとかなると

思っているから