涼翳

秋風が吹けば
一雨ごとに
涼しさは増し

夏の弛緩した空気は
真綿で締め上げられるように
清涼で乾いた大気へと
置き換わってゆく

空気は
冷たくなればなるほど
身を刺すように
鋭さを備え

我々もまた
無防備ではいられず
たくさんの衣を着けて
冷気から身を守る

もう夏は終わる
生あたたかい夜の乱痴気騒ぎは果てた
今はただ
余韻を残すのみ