障碍なき酒場

私は目が見えません
私は耳が聞こえません
足がありません
ガンが転移しました

そんな人達が酒を飲みに来て
騒いでいる酒場

足を引きずり
2時間もかけて通う者

ビール片手に
壁を相手に
ただひたすら喋っている者

みんな満たされなくて
それでも満たされたくて

酔っ払って自棄になったり
誰かに絡んだりする

通貨という無機質な紙や鉱物と交換すれば
酒は誰にも平等で

酔いが回れば回るほど
私の目も見えなくなり
耳も聞こえなくなり
徐々に五感が麻痺して
楽しくなる