死者のいき場所

死者が還ってきた

 

なくなり

終わったと思っていた

死者が還ってきた

 

顔色良く

快活で

 

死者だということを

忘れさせる

 

饒舌な言葉

キビキビした振る舞い

 

それが死者でなかったら

良かったろうに

 

死者であるために

怖ろしくて

仕方がないのだ

 

あるはずだった

終わりを

 

飛び越えて

戻ってきたために

 

居場所がないのだ

 

死者は自ら

生者のつもりでも

 

生者として

認められなかった

 

それは偏見でも

レッテルでもあり

 

抑えきれない動揺を

鎮めるためのレトリックだった

 

実際は生者と変わらないのに

一度

死んだだけで

 

もう死者としか

思われないのだった

 

死ぬ時

あれだけ惜しまれ

流された涙は

 

もう忘れられ

 

死んでいて欲しい

さらに

死んでいなければならない

 

そんな死の枠に

はめられようとしている

 

死者は

生きているのに

生きることを許されず

死を求められ

 

どこにもいき場所がない

 

それがあわれでならなかった