鼠物質

誰もいない部屋

 

数ヶ月もの静寂

 

何があったのか

誰にも分からない

 

ベタベタの

粘着シートに

 

ネズミが

 

ずらりと

横たわり

 

あるものは

腐臭を放ち

 

またあるものは

美しい毛並みを

靡かせていた

 

放置されていた

それらは

 

生命を失ってから

あまりに長い時を経て

 

すでに

物質になっているのだった

 

はじまりも

終わりもなく

 

ただ

転がっている

 

生命だったもの

 

在ることでのみ

痕跡が確認され

 

気配も

うつろいも

感じられず

 

そんなものたちが

無尽蔵に

わき出ては

 

消えているのだった