散花

桜の花は
満開まで
花びらを散らせず

咲きほこる一瞬を見せ
初めて
散りはじめる

散り際の美しさは
刹那に失せ

葉が生え
花びら泥にまみれ

川面の花筏
流れ去り
淀みにかたまり
黒ずんでゆく

華やかな花弁が
ゴミに変わりゆく今

花よ花よと
愛でられたのが

たちまちに
落ちぶれ
目も当てられない

それを何事もなく遂行する
自然の営み

意味を求めるのが
不毛なほどに

ただ風流