理想を取り現実に生きる

やりたいことでなくとも
それなりに評価され
納得はいかないながら
そこそこの居心地良い人生と

心から願い
やりたくて仕方がないが
全く評価を得られず
極貧に生きる人生

両極端の間のどこかに
着地点を見つけ
現実を受け入れる

ところが人生は
そんな簡単にすまない

嫌々していたことが
いつの間にか好きになったり

これ一つに人生を賭けようと
心に決めたものが
ある時を境に
目にするのもおぞましくなったりする

かように人は変化し
適応し
退屈と平穏を手にし

積み重なりし過去を
回想する

良くも悪くも
留保することを知らず

何であれ
とりあえず
手を付けてみようと思えた学生時代

自分が何者か
分からない苦しさ

青春とは灰色で
悩んで悩んで

自分の可能性も限界も分からないまま
暗中模索して
もう二度と戻りたいとは思わない

それでも
分からないままに
世に漕ぎ出す不安は

最初から分かったふりをして
安穏でいられる範囲から
一歩も出なくなった
不惑になって手に入れる怠惰よりは
はるかに尊く

いつになっても
どこかに不安を抱えておく余裕を

以前のように
余裕と自覚しないままに
保ちたいと
今思う