健康原理主義

健康であることは大切だが
健康でなければならないのか

この国は
世界有数の長寿国なのに

いまだ
外国の生活を見習って

減塩や
禁煙や
適正体重へ

口を酸っぱくして
人を導こうとする

多様な価値観が
広がる世界で

健康だけは
万人に共通する利益だから

推し進めるのに
躊躇がないのかもしれない

だが
他者の健康を
脅かしてはならないのと同様に

健康を強制することもまた
不健康な振舞いに違いない

後悔すると分かっていても
睡眠時間を削り
身体を痛めつける人生を送る人もいる

国や県が指導して
健全な生活を
率先して押し付ける人がいて

まるで正義であるかのように
生きる自由を蝕んでくる

堕落の深淵に対峙するのも
人生を選ぶ権利の一つ

有害図書を禁止するような
権力の親心で

選択肢を奪ってはならない