サリエリの心(ミロシュ・フォアマンを悼んで)

アントニオ・サリエリは実在したハプスブルク家の宮廷楽長
ベートーヴェンシューベルト、リストを育てた

モーツァルトに嫉妬する

家柄も良くない

類まれなる楽才に
驚愕するサリエリ

高名な音楽家
楽曲とともに歩んだ人生

だからこそ
脅威を感じた

秀才で音楽に精通したために
分かってしまった

自分が天才に及ばない
その圧倒的な差を

最大の理解者だからこそ
アマデウスに魅了され
激しく嫉妬し
自分の身が脅かされるのを怖れる

秀才がどこまで努力しても
届かない
天才の頂き

それが如実に分かってしまう
秀才ならではの苦悩

近づき
身を焦がし
憧れて止まない

しかし届かない
その愛憎の激しさ
欲望と嫉妬への狂疾

そんなサリエリの葛藤に
誰もが苛まれ
生きているからこそ
人は間違いを犯してきた

悩んで間違え
悔み
また間違える

哀しいけれど
そんなものだから
何百年も昔の人に
共感も抱くのだ