残ること消えること

生活の痕跡を抹消したい

しかし歴史に名を残す

何かを為したい

 

恥ずかしい記憶にまみれ

消したいことは山ほどあれど

 

このまま

何もせずに消えるのは

忍びなく

 

自分の生を

確認する証を

一つでも見えるように

 

たとえ人が褒めそやす

立派なものでなくとも

 

この歴史に

己も存在したことを示す

 

何かのもの

何かの事件

何かの記憶

 

最後には

人から恨まれようと

憎まれようと

 

どうせ抹消してしまう人生ならば

 

つまらないことは

全て消して

 

いや消さずとも

勝手に消えていくのだから

 

何かを残して

死んでいく

 

残すものは

選びたい

 

残すために

恥をかかねばならぬなら

 

恥知らずにも

ならねばならぬだろう

 

どうせ消える

消えるのだから

残したい

 

それが傷跡だとしても