ザイルを離すな

どれだけ苦しかろうと

手放してはいけない

 

崖の途中

捕まるところなく

握力も果てた

 

このザイルを離せば

崖下へ真っ逆さま

 

だけど

離したい

 

こんなところで踏ん張って

何の意味があるのか

 

苦しいだけ

楽になりたい

 

強風に煽られ

寒波に睫毛も凍る

 

地の果てで一人

生きようが死のうが

 

世界は

何も変わらない

 

それでも

ザイルを離してはいけない

 

止まって

踏ん張ることが

前進に等しい

 

朝が来て

日が昇り

視界が開けば

 

また進んで行ける