うらびれ酒場

うらぶれた街の隅では

今日も

酒飲みが蠢いている

 

ボロボロの体に

流し込むアルコール

 

精神は

麻痺することで

救われる

 

立派な身分

稼げる仕事

きれいな家に

健康な家族

 

何一つ

持てない人が

ここでは主役

 

世間体など

あるわけがない

 

世の中の

あらゆる価値が

逆転し

 

悲しい現実を

忘却し

 

一時の夢を

見ていられる場所

 

己を負け犬と

認めたくない哀しみを背負った

 

無残な現実が

そこには晒されている

 

それでもなお

酒を飲み

体をいじめて

 

時を費やす男たちに

愛着がわく