山を越えて

どんなに小さな生活にも
地味な暮らしにも

山も谷もある

一つの山を越え
少しだけ
見晴らしを楽しみ
下ってゆく

何を得たか
なぜ登ったのか

終わってしまえば
余韻に浸っている時は少ない

下りながら反芻し
また登るのか
己に問いかける

登る動機などない
たいして素晴らしい体験でもない

だが
登ることは
生きること

登っている間だけ
命の鼓動が疼いて

わたしは
また
歳を重ねる