ご機嫌な不審者

昼下がり
公園のベンチで
一人酒を飲むオヤジ

風が吹いて
緑がそよぐ
気持ち良い初夏

オヤジは
ワンカップの焼酎

ご機嫌で
鼻歌を歌う

ヨレヨレのシャツ
ボサボサの頭

陽を浴びて
照り帯びる顔

花見の終わった公園を
謳歌する横には

子どもたちがやってきて
遊具で遊び始める

自然と子ども
オヤジは眺めながら
酒をあおる

近くの子どもに
陽気な声を掛ける

すると
端で母親たちの
ヒソヒソ声

しばらく経ち
警察官がやってきて

オヤジはどこかに
連れて行かれてしまった

この街は
もう

公園で昼酒すら
許されない

オヤジは
不審者で

子どもに声をかけては
いけなくて

周りが見て
怪しいと思われたら
もうダメだ

きれいで
正しくて
周りの言いなりで

世の中から外れたら
もうダメだ

ダメだと
思われていると
覚悟して生きて

どこまでも
意思によって
自分を信じていないと

レールから外れた人たちは
ますます
あやふやな立場に
追い込まれてしまう

ならば
不審者でも
ご機嫌に生きて

わたしだけは
彼を讃えよう