得体のしれぬ声

遠く
声が響く

見えない
どこかから

唸るような
叫ぶような

激怒か
咆哮か
呪詛か

霞が垂れ込め
外は肌寒い

霧中を響いて
声は丸まり

様相も曖昧に
溶けかかる

だが
声だけが
聞こえてくる

何かも
どこかも
分からないのに

耳に届いて
消えず

人と獣の境界を
浮かび上がらせて

伝わってくる

分からないけど
強い何か