サンチョ・パンサに生まれて

人は誰しも

自分の人生を持つ

 

わたしだけが主人公の

わたしだけの生

 

だけど世間では

皆が主人公になれるわけじゃない

 

ドン・キホーテになりたくても

シャーロック・ホームズになりたくても

 

現実では

その読者であるばかり

 

せいぜい

サンチョ・パンサかワトソンか

 

主人公を横目に見ながら

あくまでも観察者にすぎない

一人の私

 

生きるのは

長い

 

死を思いながら生きるなら

ますます長い

 

長く不安と苦悩を抱えながら

欲望を捨てず

己を諦めず

 

理想を捨てられず

現実とますます離れながら

 

理想は空想となり

妄想となり果てても

 

長い長い年月と

想像力と共に過ごす

 

何もなくても

傍観者のままだとしても

 

想像力が生きさせてくれたなら

それでいいじゃないか