玉を打つ

昼下がりの酒場に

有閑な老人

 

時を連ね

時を持て余し

時より逃げる人々よ

 

酒飲み

玉を打ちに出て

金だけ奪われ

 

自棄酒を喰らって

また玉を打つ

 

他に生きる喜びがないほど

働いては玉を打ち

飲んでは玉を打ち

酔っては玉を打つ

 

銀玉が釘の間を抜け

ただ落ちていく遊戯

 

落ちるほどに

希望は消え

ただバネの音だけが響く

 

実りなどない

哀しくも虚しい遊戯

 

打っては飲み

飲んでつぶれて

 

それでも

打たねばやっていられない

 

パチンコ台の裏側に

ひたすら金を貢いで

肥え太らせ

 

消えていく老人たちよ

 

貧乏なあなたが

愛する無為は

 

この世に

地位と名誉と財産を積み上げようとする者の

 

すべてを失わせ

死をまとって取り囲み

 

一切の無という平等の地平へ

お前らを連れて行くだろう

 

その時

笑っていられるのは

 

無為の友たる人だけなのだ