嘔吐の前

食あたりの苦しみは

緩慢に襲ってくる
吐き気

いつまでも続く
倦怠

全てを放り出し
布団に横になり

胃を空にして
じっとしていても

不快は収まらず
ただただ
辛さに耐えねばならない

水を飲めば吐き
水を飲まねば衰える

胃に溜まる
少しの水さえ
いや
胃液さえ

胃は受け入れず
暴れて
外へ追いやる

悪心に
悩まされる間

疲弊した体は
動くのを嫌がり

しばし
布団の内で

トイレ参りへの
逡巡があるも

行かずには居られず
ふらつき
吐き気を我慢しながら

10メートルにも満たない
トイレへの道を

険しい山に登るごとき面持ちで
足を引き摺っていく

トイレの前に立ち
吐き気を解放

だが
すぐには出ない

息の出来ぬ苦しさが続き
胃液の耐え難い臭気を感じて

何度も何度も

胃腔からのせり上がりに
押され

終に
束の間

苦しみは和らぐ