赤ん坊の里帰り

故郷に
赤ん坊を連れて帰る

赤ちゃんには
里帰りだけど初訪問

おじいちゃんにも
おばあちゃんにも

会ったことはない

自分は何も知らない
この世界も
この人々も

ましてや
親戚なんて

けれども
不思議なことに

知らない土地なのに
誰もが
赤ちゃんが生まれたのを知っていて

抱っこしたり
頭を撫でたり

赤ちゃんは
何も知らない

わけがわからないまま
知らない人に
ベタベタ
ベタベタ

体を触られ
勝手に撫でられ

眠いのに
邪魔ばかり

本当は
お母さんとずっと
そして
たまにお父さんと

一緒にいたいのに

我慢ばかりで
ついには
泣くしかないじゃないか

そう
それが

世の中に
出ていくということだね