行灯のなか

ぼーっと生きるなと
叱責されたとて

本来
人はだれしも

楽に生きたい
好きに生きたいと
望んでいる

それが叶わぬため
朝から満員電車に乗ったり
日が暮れるまで
仕事をしたり

忙しく毎日を送る

昼行灯のごとき
呆けた暮らしが成り立つなら

ゆるやかで
すきを見せても
一向に心配のない
生き方ができるなら

剃刀のような俊英の近くで
緊張感を抱いているより

羊水のような
ぬるま湯に浸って

馬鹿になっていたい

馬鹿になって
馬鹿にされて

すぐ泣いて
くよくよして

すぐ忘れて
なんでもおいしく食べて

また馬鹿になって
昼からヘソを出して寝て

お腹が空くのを待って
夢を見ていたい