銭湯

瓦屋根の破風
二つの入口

高い天井
ペンキ絵の富士山

カランの前に座る人たちは
一心不乱に体を洗っている

働き蟻のようだ
誰もがこまめに動いている

浴槽に体を沈め
忙しない装いを眺める

湯気抜きから
午後の日差しが差し込む

有閑な空間に
立ち回る人々

桶のぶつかる音
立ち昇る湯気

活気とくつろぎが同居する
裸の気負いのない
この巣の中で

湯に浸かる私は
安堵と日常と
世界へのつながりを取り戻す