2017-02-11 銭湯 詩 #詩 瓦屋根の破風 二つの入口 高い天井 ペンキ絵の富士山 カランの前に座る人たちは 一心不乱に体を洗っている 働き蟻のようだ 誰もがこまめに動いている 浴槽に体を沈め 忙しない装いを眺める 湯気抜きから 午後の日差しが差し込む 有閑な空間に 立ち回る人々 桶のぶつかる音 立ち昇る湯気 活気とくつろぎが同居する 裸の気負いのない この巣の中で 湯に浸かる私は 安堵と日常と 世界へのつながりを取り戻す