子供心

宮沢賢治『黄いろのトマト』が好きだ

小さい兄妹が
大切に育てたトマトに
黄色く黄金に輝くものがある
ある日サーカスがやってきて
兄妹はついてゆく
中へ入ろうと木戸銭の代わりに
黄色いトマトを二つ差し出す
そうしたら
番人に「人を馬鹿にするな」と
トマトを投げつけられる
兄妹はみんなの笑いものになる


小さい頃
大切に大切に育てた心を
踏みにじられる
誰にも経験があるだろう

子供にとって何より大事だったものが
無知や世間知らずで片付けられる

仕方がないのかもしれない
子供の世界は小さい
世間の常識とズレている
みんな悲しい思いをして大人になるのだ

だけど
避けられないとしても
小さい世界で大切なものを育んでいく心は
清らかで美しい

それだけは忘れたくない