春の病

穏やかな春の日

人は街に出る

 

桜は咲いた

風は暖かい

 

神社の坂を下れば

せせらぎ澄む川原

 

春草芽吹き

蛙鳴きだす

 

いつもと同じ春

 

だが心は

いつも違う

 

同じ春などなく

新たな感傷が

胸に跡を刻む

 

春は別れ

春は旅立ち

 

若さと青さ

脆さと哀しさ

 

不安定で

おぼろげな春よ

 

散る桜のごとく

忘れられる春よ

 

今年も傷を残すのか