花見桜の陰に

墓場に桜
よく似合う

いまだ寒さ残り
墓地に吹く風は

曇天の中
卒塔婆を鳴らす

灰色の空
浮かぶ薄い桜

不機嫌な春の
気まぐれ

橋を渡れば
ホテル街

いかがわしいネオンは
いつでも満開に咲く

場末の酒場
一杯の酒

ただそれだけで
一時間
二時間

粘るアル中を
肴に飲む

土曜の昼下がり

何もなかった
良いことも
悪いことも

ただ見た

花と
墓と
飲んだくれを