北国の春

桜が咲き
菜の花が咲き
蛙が鳴き
燕が飛ぶ

ふきのとうが伸び
竹の子が頭を出す

全てが一緒にやってくる
長い冬を越えた北国の春
短いだけ鮮やかだ

初夏を思わせる日射し
初春を思い出させる夜の冷え込み
青く芽を出す道草
遠くに見える山の雪

モノクロームの世界は一変し
暑さと寒さと
光と影と
生と死が
混在し動き始める

そのせわしなさが
生命の力強さと短さへの焦りを匂わせ
喜ばしくも
哀しくもある