寒々しい夕辺

冷たい

 

誰もいない街に

冷たい風が通り抜ける

 

くぐもった空

水滴が風にのって

吹き付けてくる

 

ああ寒い

夕暮れ時の

団欒の気配を吹き飛ばし

 

薬局の旗を

ばたつかせ

 

身を切るような

風切り音を響かせて

 

街を凍らせる

 

人々はいなくなり

ただ猫だけが徘徊している

春の前