寒風残雪歩

今日も風は強く
身を縮め
街を歩けば
路地のそこかしこに
氷のように固まった
雪が残る

冷たい風は
人の身も心も
固く閉ざす

残った雪は
溶けゆく周囲の中で
意地を張る
頑なさを
思わせる

ちょっとやそっとでは
なくならない

だが最後には
溶けて消えるのが
分かりきっている

厄介で
道を遮る氷雪

誰の心にだって
似たようなものがあり

溶かしたくても
溶かせずに
何とかやり繰りしている

そう思えば
溶け残った雪は

私を観照に導き

寒暑の極を
五感で味わう機微と
変化に富んだ世界の妙

飽きることない刺激を
送り届けてくれる