風狂の街

冷たい風に
暖簾がパタパタ音を立て

街ゆく人は襟を立て
早足で通り過ぎる

赤いぼんぼり
遠い嬌声

ガード下の路面電車
湯気たてる屋台

冬の気配が
巷に流れだし

風の寒さとともに
人はせわしなく
動き回る

建物の内と外に
気温の隔たりが生まれ

冷たい頬を緩ませて
入ってくる者

赤ら顔して
出てゆくもの

そんな寒暖の切り替えが
ますます
大気の厳しさを思わせ

今日もこの街に
風が吹きつける度

酒精に浸る男たちは
さらに内へ
奥へと逃げ込み

放り出される
その時まで
酔狂な夢を見ている