美しい嘘

過去に傅かれて

道を渡った

 

うろ覚えの記憶で

おっかなびっくり

 

実は

渡れたのかさえ

分かっていない

 

失敗ばかりしてきたから

突けば

どこからでもボロが出る

 

去勢じゃない

 

迷惑をかけたくなかった

失望させたくなかった

 

だから

無理をしたのだった

 

哀しいくらいに

衰えていたけれど

 

ボロボロで

恥ずかしかったけれど

 

そんな申し訳無さも

感じられないくらいに

無我夢中で

 

酔いに興じて

踊らされていた

 

失望を呼んだかもしれない

 

今は

仕方がないとしか言えない

 

嘘が剥がれるのは

自然なことだ

 

ボロが出る

地が出るのは当たり前だ

 

それだけで

割り切るしかない

 

でも

少しだけ

きれいな心になっていたんだ