濡れ手の粟のごとき

数十億の人間が

一人づつ

 

ものを考え

 

ある者が言うことに

ある者は真逆に答える

 

それはもう

塵芥の如く

 

世界中に散らばっている

生命の煌きで

 

掃いて捨てるほどあれど

当人には

何よりも大切な

かけがえのないもの

 

だからこそ

世界は恐怖でしかない

 

最も大事なものが

いくらでも街に転がっている現実を

 

直視など

出来ようはずもない

 

多様性なんて

どこにもある

 

己のかけがえの無ささえ

膨大な数の中に溺れ

 

大切なのに

どうでもいいのだから

 

自分のことを考えている時しか

大事なものなどないのだ