心のかたち

誰もが持っている
信じている
心の有様

どこにあるのか
本当にあるのか
分からない心

心が痛むのは
本当に痛いのではない

心苦しいのは
うめき苦しむのではない

誰に聞いても
心はあると言う

いま
ネットで
有象無象の文学に

AIが書いた文字列を
紛れ込ませたなら

ある人は涙を流し
感動したと言うはずだ

心なき
マシーンが描く記号の羅列に
心打たれる

心なんて
いい加減なものだ

だけど
多くの人は
心が一番大切だと思っている

心がわき立てば
身体の多少の不具合なんか
気にしなくていいと思っている

実は
身体が心を作っているのに

心を探して
体を開けて

解剖して
隅の隅まで切り刻んでも

心のかたちは
見えはしない

ただ大事だと思っているもの
ただあると信じているもの

客観性なんてない
いい加減で
例証不能
こころだから

好きなかたちを
胸にしまっていさえすれば

心臓は鼓動を打って
動いていてくれるのだろう