勘所

気に食わない

ということだけで

世界を判断している向きがあり

 

機嫌が良いか悪いかで

生きる時の全てを味わっている

 

感情の流れを

理路整然と分析しても

 

理と道徳で

世界の善悪を思考しても

 

好きか嫌いか

気持ち良いか悪いかで

 

立ちどころに

態度は変わり

 

好悪の材料として

理性や教養が

使われていることも珍しくない

 

それほどに

感情とは恐ろしいもので

 

快適であるために

人を殺すことも厭わず

 

感情の砲火を浴びないために

己を押し殺して

生きるのも当然で

 

結局

人間は動物なのだと

 

悟りきって

開き直るのも寂しく

 

もやもやを抱えながら

生きるのが

世界の複雑さだと

 

割り切れない現状をそのまま

割り切ってしまうのも

 

やはりいやらしく

 

右往左往して

なお

これからも同じ過ちを繰り返すと

分かりながら

 

己を見て

変わり様を

勘案することぐらいしか

 

今できることはない