人が怖くなる
夜
家の周りを徘徊する獣
落ち葉を踏みしめる音
水を張ったバケツが揺すられる
ネズミなのかウサギなのか
イノシシなのかサルなのか
それとも世に捨てられた人間か
物音が近づき
玄関の引き戸を開けて
家に入って来るのだろうか
誰か来てくれ
いや誰も来ないでくれ
私を安らかに保たせてくれ
雨戸一枚隔てた隣の気配に怯え
自分を守りたいと願う
それを繰り返して気づくのだ
私を脅かすのであれ
私を守るのであれ
私が私を感じるのは
私以外の存在無くして成り立たないのだと