尊敬する人

尊敬できる人を思い浮かべる
飲み屋の親父

知識を持っているわけでも
教養があるわけでもない

美味しい魚を
安い値段で供す

働き者だ
朝起きて市場に行って
昼は弁当を作って売り
夜は飲み屋
たった一人で全部やる
休むのは元旦だけ
労働時間はそんじょそこらのブラック企業だってかなわないだろう

つらい素振りは見せない
自然体で寡黙で
愛想は良くもなく悪くもない

客を区別しない
格式張らない

働くことが自分のなかに
無理なく溶け込んでいる

楽をしようと思えばできるだろうに
休んでどこかに出かけても良かろうに

彼には仕事が日常で
日常が大切なのだと
よく知れる

がむしゃらに働くから良いのではなく
自分の有り様を自分で分かって
日々を過ごす
こんな生き方を一生懸命というのだろう