二元の果て

朝に陽が昇って
夕に沈み

春が来て
夏が来て
秋が来て
冬が来て

草が芽吹いて
葉が落ち

ツバメが巣を作って
やがて巣立ち

人が生まれて
人が死んで

一日も
一年も
一生も

同じことを繰り返し
世界はルーティンで
まわっていると思える

それなのに
人の一生は一回で
一日として同じ日はなく
全ては新しく更新する

反復がもたらす安定と
新たに広がる期待とが

同時に存在し
我々は二本の足で歩いてゆく

安定では停滞し
革新すると危機を伴う

どちらも求め
どちらも嫌う

一方を選ぶことはできない
一方を捨てることはできない

しかしバランスを取ることもできない

意志と覚悟を持つことだけが許され
持たないこともまた許される

安定と危機
寵愛と嫌悪
身体と精神
自己と他者
昼と夜
善と悪

この世のあらゆる二元的な対立のなかで
我々は引き裂かれ
安堵と不安を往来する

思索と行動の反復のなかで
私が唯一頼むのは

闇の中の光

夏の夜の白熱灯に
ただ飛んで行くことだけだ